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建築会社倒産で2,000万円が! 夢のマイホームを絶望に変えないための完全防衛マニュアル

京都の不動産 モコハウスです。
先日、衝撃的なニュースが報道されたのをご存知でしょうか?
兵庫県の住宅メーカーが突然倒産し、契約していた多くの方が被害に遭われているというものです。ニュースで取材されていたAさんは、工事が始まる前にローンで2,000万円以上を支払ったにもかかわらず、着工されないまま土地は更地の状態。
手元には、これから35年間払い続けなければならない多額のローンだけが残った、と語っていました。
「もう絶望ですよね」という言葉に、胸が締め付けられる思いがした方も少なくないでしょう。
夢のマイホーム計画が、ある日突然、悪夢に変わる。これは、決して他人事ではありません。
昨今の建築資材の高騰や人手不足により、建設業界の経営環境は厳しさを増しています。
私たちモコハウスは、お客様の「幸せのお手伝い」をさせていただくことを信条としています。だからこそ、このような悲しい事態を未然に防ぎたい、そして万が一の際にはご自身の資産と未来を守るための知識を持っていただきたいと強く願っています。
今回は、不動産のプロとして、そしてお客様の人生に寄り添うパートナーとして、「もしも、契約した建築会社が倒産してしまったら?」という万が一の事態に備えるための知識を、少し長くなりますが、具体的かつ徹底的に解説いたします。
その日は突然やってくる……倒産発覚直後に施主が絶対にすべきこと
建築会社の倒産は、まさに青天の霹靂です。
パニックになり、何をどうすれば良いのか分からなくなるのも当然です。
しかし、こんな時こそ冷静な初動がその後の運命を大きく左右します。まずは落ち着いて、ご自身の資産を守るための行動を開始しましょう。
現実①:工事はストップする
建築会社が倒産手続きに入ると、多くの場合は現場の工事は即座に、そして全面的に中断されます。 特に破産手続きの場合は、一時的な休止ではなく、法的な完全停止です。
この時、最も恐ろしいのが建築途中の家の劣化です。
雨風にさらされた木材や基礎はどんどん傷み、放置された建材も品質が低下していきます。工事を再開する際には、これらの部材が使えなくなり、想定外の追加費用が発生するリスクが高まるのです。
なお、民事再生の場合は、条件付きで工事継続の可能性が残る場合もあります。手続の種類と今後の方針を、窓口(管財人・会社)に正式に確認しましょう。
現実②:住宅ローン返済は止まらない
非常に酷なことですが、建築会社が倒産しても、金融機関へのローン返済義務はなくなりません。
特に、着工金や中間金の支払いに利用される「つなぎ融資」の返済は、家が未完成であっても継続しなければならないのです。
まさに「家は建たず、ローンだけが残る」という二重の苦しみに苛まれることになります。
【緊急対応チェックリスト】今すぐ行動すべき7つのこと
この危機的状況で、ご自身の権利と資産を守るために、直ちに以下の行動をとってください。
- 現場の養生を手配する:何よりもまず、建築途中の建物を雨風から守るため、ブルーシートで覆うなどの「養生」を手配してください。 この費用は一時的に自己負担となりますが、将来の莫大な損失を防ぐための最も重要な「投資」です。
- 専門業者に依頼しましょう
- 安全第一です。施主・ご家族の無理な立ち入りは避け、写真付きの作業報告を残してもらうとよいでしょう
- 残置資材は施工会社や仕入先の所有物である可能性があるため、無断で処分・持ち出しをしない
- 仮設電気・水道の契約状況、建設工事保険や火災・風水害の特約の有無も確認
- 第三者の専門家に現状を検査してもらう: 第三者の建築士(ホームインスペクター)に依頼し、工事がどこまで進んでいるか(出来高)と、現在の建物の品質を客観的に評価する報告書を作成してもらいましょう。これは後々、支払ったお金の精算や、別の建築会社との交渉で絶大な効力を持つ証拠となります。
- あらゆる角度から写真・動画を撮る: 日付がわかる形で、現場の状況を詳細に記録してください。建物の内外、残された資材、現場全体の様子など、とにかく大量に撮影しておくことが、後の法的手続きであなたを助けてくれます。
- すべての関連書類を集める:工事請負契約書、図面、仕様書、変更契約の覚書、領収書や振込の控え、担当者とのメールや議事録まで、関連する書類とデータを全て一箇所に集めて整理してください。
- 倒産手続きの種類と「窓口」を確認する:会社が「破産」なのか「民事再生」なのか、法的手続きの種類を正確に把握します。そして、今後の手続きに関わる「窓口」が誰なのかを確認しましょう。 今後のあなたの交渉相手は会社の元社長ではなく、この窓口担当になります。
- 破産手続:裁判所選任の破産管財人が窓口となります
- 民事再生:原則、会社(再生債務者)が窓口で、監督委員がつくのが通例です
- 金融機関に早期相談:つなぎ融資は工事中は利息のみ支払い、本融資実行時に元金清算というケースが一般的です。状況を説明し、返済条件の変更(リスケ)、本融資の実行時期、追加融資やブリッジの可否を相談しましょう。
- すぐに弁護士に相談する:この複雑な状況を、決して一人で乗り切ろうとしないでください。建築紛争や倒産法務に詳しい弁護士に、一刻も早く相談し、代理人になってもらうことが極めて重要です。感情的・単独行動は避けましょう。
前払金を少しでも守るための法的ポイント
「払ったお金を取り戻したい」というお気持ちは当然ですが、倒産手続には厳格なルールがあります。
知っておくべきキーワードは次の二つです。
「破産債権」と「財団債権」
- 破産債権(一般債権):前払金の返還請求や解除に伴う損害賠償請求は、原則ここに分類。優先順位が低く、配当はゼロ〜数%に留まることが多いのが現実です
- 財団債権(破産)/共益債権(民事再生):手続運営上、優先的に弁済される債権。裁判所費用や管財人の費用、手続後に新たに発生した必要費用など、法律で限定的に列挙されています
重要な誤解の回避
- 施主が自ら契約解除を通知しても、また管財人が解除を選んだとしても、施主の前払金返還請求が財団債権(共益債権)に「格上げ」されるわけではありません。多くの場合は破産債権のままです
- 未履行双務契約の扱いとして、管財人(または再生手続の会社)は「履行継続」か「解除」かを選択できます。施主は相当期間を定めてその意思表示を求める「催告」で回答を促すことが可能ですが、これによって債権の優先順位が上がるわけではありません
実務上の推奨対応
- 単独での解除通知は控え、弁護士経由で催告や今後の取扱いの確認を行う
- これまでの支払と出来高の突合(第三者報告書が有効)を準備し、過払分の返還請求・残資材の扱い等を法的に整理
- 破産手続では配当見込みが低い前提で、次の施工会社への引継ぎ計画(再査定・補修・やり直し費用の試算)に素早く着手
施主を守るセーフティネット「住宅完成保証制度」
倒産リスクに対する、最も有効な金銭的防衛策が「住宅完成保証制度」です。
これは、加入している建築会社が倒産した場合に、保証機関が前払金の損失や、工事を引き継ぐ際に追加で発生した費用を保証し、さらには代わりの建築会社まで斡旋してくれる、まさに施主にとっての生命線です。
ただし、この制度への加入は建築会社の任意であり、義務ではありません。 ニュースになった住宅メーカーも、報道によればこの制度には未加入だったようです。だからこそ、契約前に「住宅完成保証制度に加入していますか?」と確認することが、施主にとって最大の自己防衛となるのです。
この制度には、大きく分けて2つのタイプがあります。
特徴 | 保険タイプ | エスクロータイプ |
---|---|---|
仕組み | 倒産後に発生した損害(追加費用や前払金損失)に対し、保証機関が保険金を支払う。 | 建築資金を一旦、第三者機関に預け、工事の進捗に応じてそこから建築会社に支払いが行われる。 |
保証 | 請負金額の20~30%や上限1,000万円など、保証限度額がある。 損害が上限を超えると自己負担が発生する。 | 未払いの工事資金は安全に保管されているため、実質的に100%の金銭的保護が期待できる。 |
安心度 | 安心だが、万全ではない可能性も。 | 構造的にリスクが最小化されており、極めて安心度が高い。 |
費用 | 比較的安価 | 比較的高価 |
より安心度が高いのは「エスクロータイプ(資金管理型)」ですが、まだ採用している事業者は少ないのが現状です。 契約しようとしている会社がどちらのタイプに加入しているのか、保証の上限額はいくらなのか、必ず契約前に確認しましょう。
確認すべきポイント
- 加入の有無と制度名、保証限度額、免責事由、対象費用、手続フロー
- 証明書や約款の提示を受けること(渋る場合は強い警戒サイン)
- 支払条件を出来高払いに寄せ、前払金を過大にしない
家は建ったのに……引き渡し後の倒産に備える
無事にマイホームが完成し、新生活がスタートした後に建築会社が倒産するケースもあります。 「アフターサービスはどうなるの?」と不安になりますよね。
ご安心ください。ここにも施主を守るための法律と制度があります。
法律で義務付けられた「10年保証」は消えない
日本の法律(品確法)では、全ての新築住宅に引き渡しから10年間の瑕疵担保責任(契約不適合責任)を義務付けています。 これは会社の倒産によって消滅するものではありません。 ただし、保証対象は家の根幹に関わる重要な部分に限定されます。
- 保証対象:「構造耐力上主要な部分(基礎や柱など)」と「雨水の浸入を防止する部分(屋根や外壁など)」
- 保証対象外:壁紙の剥がれ、建具の不調、住宅設備の故障など、上記以外の不具合。
経済的裏付けとなる「住宅瑕疵担保責任保険」
この10年保証を確実なものにするため、すべての建築事業者は「住宅瑕疵担保責任保険」への加入(または保証金の供託)が法律で義務付けられています。
この制度の最大のポイントは、建築会社が倒産して保証を履行できない場合、施主が保険会社に直接、補修費用を請求できる点です。
引き渡し時に受け取った書類の中に、必ず「保険付保証明書」という大切な書類があるはずです。 これをすぐに探し出し、万が一の際はそこに記載されている保険法人へ連絡してください。
悲劇を未然に防ぐ! 契約前にできる予防的リスク管理
これまで万が一の際の対処法を解説してきましたが、最も良いのは、そもそもそうした事態に陥らないことです。契約前の段階で、施主自身が建築会社をしっかりと見極めることが何より大切です。
経営危機の兆候を見抜くチェックリスト
- 異常な支払いスケジュールを要求してくる:「今ならキャンペーンで、費用の大半を前払いすれば大幅値引きします!」といった提案は、資金繰り悪化の典型的なサインです
- 相場より著しく安い見積もりや、短すぎる工期を提示する:安さには必ず理由があります。品質を犠牲にしているか、契約を急いでいる可能性があります
- 担当者が頻繁に変わる、事務所が乱雑など、社内が混乱している:管理体制の不備を示唆しているかもしれません
- 住宅完成保証制度の証明書の提示を渋るなど、情報開示に消極的:これは重大な警告と受け止めるべきです
客観的なデータで判断する
営業担当者の人柄や言葉だけでなく、客観的な事実で判断しましょう。
- 【最重要】住宅完成保証制度への加入を証明書で確認する。
- 帝国データバンクなどの信用調査レポートを入手し、財務状況を確認する。
- 支払い条件を、できるだけ工事の進捗に合わせた「出来高払い」に近づけるよう交渉する。
健全で誠実な会社であれば、これらの情報開示を厭うことはありません。 むしろ、こうした質問や要求を渋る会社こそ、危険な兆候と判断すべきでしょう。
引き継ぎを念頭に置いた契約実務
- 図面・仕様・写真・議事録はクラウドで即時共有可能に
- 図面・意匠の著作権や使用許諾の範囲を契約で明確化(他社引継ぎ時の利用を許諾)
- 工事中の保険手当と、異常時の連絡窓口(緊急連絡先・代理人)を事前に記載
工事が止まった時の次の一手
- 第三者報告書をもとに、既存部分の補修・やり直しを含めた再見積を複数社から取得
- 金融機関と返済・追加資金・本融資のスケジュール再設計を協議
- 新契約では、出来高払い、前払金保全、完成保証の有無を必須チェック項目に
まとめ:あなたの未来を守るために
不動産は、人生で最も大きな買い物の一つです。正しい初動と証拠保全、冷静な法的対応、そして契約前の予防策で、万一の被害を大きく減らせます。
モコハウスは従来の不動産屋さんのような堅い雰囲気ではなく、まるでお洒落な雑貨屋さんのような、カフェのようにリラックスできる空間でお客様をお迎えしています。
お金や法律の難しい話も、ご安心ください。当店スタッフは2名とも「宅地建物取引士」だけでなく、「ファイナンシャルプランナー」や「住宅ローンアドバイザー」の資格も持っています。専門知識を活かして、お客様のライフプラン全体から不動産のことを一緒に考え、幸せのお手伝いをさせていただくのが私たちの喜びです。
また弁護士をはじめとした、独自の専門家ネットワークも構築しています。家を買いたい、売りたいだけでなく、もしものときのトラブルや、その回避策などもご相談にのることができます。
この記事が、あなたの夢のマイホーム計画を、そして大切な資産を守るための一助となれば幸いです。
少しでも不安なこと、分からないことがあれば、いつでもお気軽にご相談くださいね。
看板犬もお待ちしております♡
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